• 検索結果がありません。

藤井浩(助教授) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2018

シェア "藤井浩(助教授) 分子研リポート2004 | 分子科学研究所"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

研究系及び研究施設の現状 267

藤 井   浩(助教授) (分子スケールナノサイエンスセンター兼務)

A -1)専門領域:生物無機化学、物理化学

A -2)研究課題:

a) 酸化反応に関与する非ヘム金属酵素反応中間体モデルの合成

b)シアンイオンをプローブとした金属酵素の活性中心の構造と機能の相関 c) 亜硝酸還元酵素の反応機構の研究

d)位置特異的ミューテーションを用いた基質配向制御による酵素機能変換

A -3)研究活動の概略と主な成果

a) 生体内には,活性中心に金属イオンをもつ金属酵素と呼ばれる一群のタンパク質が存在する。これらの中で酸化反 応に関与する金属酵素は,その反応中に高酸化状態の反応中間体を生成する。この高酸化状態の反応中間体は,酵素 反応を制御するキーとなる中間体であるが,不安定なため詳細が明らかでない。酸化反応に関わる金属酵素の機能 制御機構を解明するため,それらのモデル錯体の合成を行った。これまでの研究により,緑色の鉄3価フェノキシラ ジカル錯体,青色の鉄3価ジフェノキシラジカル錯体の合成,同定に成功した。これらの錯体の反応性を研究した結 果,スルフィド,アルコールを2電子酸化することが明らかになった。一方,これらの錯体ではオレフィンを酸化す ることができなかった。

b)自然界にある窒素や酸素などの小分子は,金属酵素により活性化され,利用される。活性中心の金属イオンに配位し た小分子は,配位する金属イオンの種類,配位子,構造によりその反応性を大きく変化させる。このような多様な反 応性を支配する電子構造因子がなにかを解明するため,磁気共鳴法により研究を行っている。金属イオンやそれに 配位した小分子を磁気共鳴法により直接観測して,電子構造と反応性の関わりを解明することを試みている。シア ンイオンをプローブとしてヘムタンパク質(ペルオキシダーゼやF ixL )の活性中心の特性と機能との関わりを研究 した。活性中心の近位側,遠位側での水素結合ネットワークと機能との相関が観測され,本手法が機能検索プローブ として有用であることを示すことができた。

c) 地中のバクテリアの中には,嫌気条件で硝酸イオンを窒素に還元する一連の酵素が存在する。これらの過程で,亜硝 酸イオンを一酸化窒素に還元する過程を担う酵素が亜硝酸還元酵素である。銅イオンを活性中心にもつ本酵素の反 応機構をモデル錯体から研究した。種々の三脚型配位子を用いて,銅1価亜硝酸(NO2)錯体の合成を行った。これら の錯体の反応性および構造決定に成功した。さらにこれらの中間体から一酸化窒素生成過程を低温ストップドフ ローにより追跡したところ,5 ms の寿命の反応中間体を同定することができた。

d)酵素は,高い反応選択性を示すことがよく知られている。活性中心近傍のアミノ酸残基を新たに設計する。その結果, 活性を維持したまま酵素の反応選択性を100%変換することに成功した。これまでの研究でも同様な試みが行われ ているが,選択性が悪かったり,活性が低く問題を残していた。我々の手法では,活性を保持したままの選択性の制 御が可能になった。基質の配向が設計どおりになっているかを,基質複合体酵素の立体構造解析を行った。その結果, 基質は本来の配向から 90 度回転した配向で酵素と結合しており,設計どおりであることが確かめられた。

(2)

268 研究系及び研究施設の現状 B -1) 学術論文

H. FUJII, X. ZHANG and T. YOSHIDA, “Essential Amino Acid Residues Controlling the Unique Regioselectivity of Heme Oxygenase in Psudomonas aeruginosa,” J. Am. Chem. Soc. 126, 4466–4467 (2004).

B -4) 招待講演

H. FUJII, “13C-NMR Signals of Iron Bound Cyanide Ions in Ferric Heme Proteins: A Sensitive Probe to Study an Active Site Environment of Heme Protein,” Third International Conference of Porphyrins and Phthalocyanines, New Orleans (U. S. A. ), July 2004.

藤井 浩 , 「生命をささえる分子の世界 金属酵素のしくみを探る」, 第 81回国研セミナー, 岡崎 , 2004 年 6 月 .

藤井 浩, 「生体内の酵素がもつナノ反応場の機能制御機構の解明と新規反応場の分子設計」, 第24回表面科学講演大 会 , 東京 , 2004年 11月 .

C ) 研究活動の課題と展望

これまで生体内の金属酵素の構造と機能の関わりを,酵素反応中間体の電子構造から研究したきた。金属酵素の機能をよ り深く理解するためには,反応中間体の電子状態だけでなく,それを取り囲むタンパク質の反応場の機能を解明することも重 要であると考える。これまでの基礎研究で取得した知見や手法を活用し,酵素タンパクのつくる反応場の特質と反応性の関 係を解明していきたいと考える。また,これらの研究を通して得られた知見を発展させ,酵素機能変換法の新概念を確立で きるよう研究を進めたいと考える。

参照

関連したドキュメント

3月6日, 認知科学研究グループが主催す るシンポジウム「今こそ基礎心理学:視覚 を中心とした情報処理研究の最前線」を 開催しました。同志社大学の竹島康博助 教,

第4章では,第3章で述べたαおよび6位に不斉中心を持つ13-メトキシアシルシランに

今日のお話の本題, 「マウスの遺伝子を操作する」です。まず,外から遺伝子を入れると

ときには幾分活性の低下を逞延させ得る点から 酵素活性の落下と菌体成分の細胞外への流出と

 高齢者の外科手術では手術適応や術式の選択を

方法 理論的妥当性および先行研究の結果に基づいて,日常生活動作を構成する7動作領域より

第四章では、APNP による OATP2B1 発現抑制における、高分子の関与を示す事を目 的とした。APNP による OATP2B1 発現抑制は OATP2B1 遺伝子の 3’UTR

様々な国の子供の死亡原因とそれに対する介入・サービスの効果を分析すると、ミレニ アム開発目標 4